常念岳〜燕岳縦走 3DAYS 8/25-27

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8月25日(金)から27日(日)にかけて一ノ沢から常念に上がり、燕まで縦走してきた。

コロナ禍に入ってからまともな縦走登山ができていなかったので本当に久しぶりの縦走になる。7月上旬にも中房温泉から燕岳ピストンを企んで行ったのだが大雨で、合戦小屋で撤退していた。今回も出発前日まで天気は微妙だったがいざ当日になると奇跡の好天で本当に良かった。

8月24日(木)仕事が終わるといそいそと新大阪に向かいロッカーにデポしたバックパックを回収後、妻と合流。夫婦で縦走なんていつぶりだろうと調べてみると2019年の夏に歩いた白馬大池から朝日小屋、蓮華温泉に抜ける縦走以来だった。色々久しぶりすぎて少し緊張気味で松本へと出発した。

DAY1 8/25 一ノ沢〜常念岳

穂高で前泊してタクシーで一ノ沢に入る予定が穂高の宿もタクシーも予約で一杯だった。仕方なく松本に前泊して松本からタクシーで一ノ沢に向かった。結果この方が前夜ゆっくりと松本のホテルで過ごせてよかった。

5時40分、一ノ沢出発。

まずは木漏れ日の落ちる樹林帯をゆるゆると登っていく。街の猛暑に比べるとひんやりと涼しい。

大きな沢沿いを進む。ところどころ開けた沢沿いで涼を取りながら休むことができる。人がたくさん歩くだけあって道が本当に歩きやすい。

8時13分、初めて視界が開けて稜線を目にする。今のところいいペースで歩けている。

バックパックは夫婦揃ってR1のプロトタイプだ。妻のサコッシュはTATE Proのプロトタイプ。

時折ガスが流れてくる。直射日光を浴びることなく登ることができてありがたい。

眺望は効かないガスが体力の消耗を適度に防いでくれる。

10時27分、常念岳への取り付きの稜線を目にする。

ガスがかかっていたがすぐに晴れる。あれが常念のピークだと思って見ていたがピークはその後方だということを後で知る。

10時31分、常念小屋着。最高の天気だ。

槍穂を目前にした贅沢なテン場に幕営。腰の調子が悪くてテントは軽いシングルウォールにしようかと思っていたが、2日目は天気が崩れそうだったのでダブルウォールにした。

小屋で昼食を食べてテントで少し休んでから常念岳に向かう。以前は昼食に小屋を利用することはあまりなかったのだが最近は積極的に使うことにしている。体調のせいもあり、軽量化は避けられない課題だし、どんな形であれシーズンの間限られた時間しか営業できない小屋にお金を落とすことは必要なことだと思う。小屋の状況で昼食の提供を停止している場合もあるのでその時の保険としての軽食は準備している。

少し登って小屋を振り返る。

ガレ場でなかなかの急登だ。標高2500メートル以上を歩くのは今季初めてなのにいつも起こる息切れも頭痛もなく調子良く登っていく。

時折立ち止まって西を見れば槍穂がくっきり見える。

時折ガスがかかって涼を提供してくれるので滝汗をかくことなく登ることができる。

登る時はついつい前方を見がちだがふと振り返ってみると明日歩く予定の稜線とその彼方に燕岳が見えた。

こういう時はまだ見ぬ風景への期待感と歩けるのかという不安感が同時に湧き上がる。

13時半、常念岳ピーク。

ピークに居合わせた人が、ふたりで写真撮ったる!撮ったるよ!と勢いよくきたので撮ってもらったのだが、20年近く一緒に山を登っていてピークでふたり揃った写真を撮ってもらうのは何気に初めてだったりする。

南を見れば上高地へと続く梓川が見えた。

涸沢も垣間見ることができるが、ほとんど雪が残っていなかった。

テン場へと戻る。適度にガスが湧いて懸念していた暑さはそれほど感じない。

夕食後、安曇野方面を眺めながら歯磨きをする。雲が多くいまいちな夕焼けだったがそれでも静かに暮れていく山のこの時間は大好きだ。

DAY2 8/26 常念岳〜燕岳

2日目、燕まで歩く今回の山行のハイライトになる。

4時半、明けていく東の空を見ながら出発。

すでにヘッドランプが必要ないぐらい明るい。

西側を見れば槍穂のモルゲンロートが始まりつつあった。

昨日登った常念岳を振り返る。

こうして見てみるとどっしりとした立派な山だということが分かる。

5時9分、太陽が姿を見せた。

槍穂のモルゲンロートがピークを迎えた。

8年前に歩いた彼方の稜線を見て、本当によく歩いたよなあと感慨深くなる。

5時半、歩く僕たちにも陽が当たり始めた。ブログに何度も書いているが、この瞬間、全てがきらきらと輝き、音がないのに一気にざわざわと賑やかになった気がする。そして一瞬の内にそれは終わる。山で過ごす中で一番好きな瞬間だ。

横通岳付近で雷鳥の群れに出会った。5〜6羽はいただろうか。

親鳥なのか周囲を警戒していた。

横通岳を巻いてフラットな縦走路を歩く。稜線の影になって直射日光を浴びずに快適に歩くことができた。

西を見れば槍穂がこの上なくくっきり見える。最高の縦走になる予感がした。

東天井岳へ向けてゆるゆると高度を上げていると猿の群れに出会った。この高度で猿を見たのは初めてだった。

東天井岳付近で槍を眺める。

7時16分、今回の縦走路の中間点の大天井岳に向かう。さすがに暑く、日焼け止めを何度も塗り直しながら進む。

時折正面に槍が見えるという極上の登り。

夏山に来たんだなあと噛み締めながら登る。

8時15分、大天荘着。

空荷で大天井岳に登る。北鎌尾根が綺麗に見えた。

大天井岳から先に進むと山の様子が一変する。ひと山越えると風景が一変する。日本の山はコンパクトに変化を楽しむことができていいと思う。

相変わらず適度にガスが湧いて猛暑とは無縁の稜線歩きが続く。一度高度を下げてまた上がる。

岩が脆く砂地のトレイルが続く。

だんだん燕ぽくなってきた気がする。

11時46分、燕山荘手前のこの辺りで稜線に熊が居るのが見えた。北アルプスで熊を見るのは二度目だ。猿も高度を上げているし熊も上げているのだろうか。

燕エリアへのゲートのような岩。

結局、大天井からはそれほど直射日光を浴びずに快適に歩くことができた。

12時9分、燕山荘が見えた。7月に雨で来ることができなかった所に来ることができた。

燕山荘のテント場は予約制だ。週末は大抵予約が埋まっているのだが今回は直前に空きが出て運よく取れた。

13時幕営。

小屋に行って水を補給し、ビールとカップ麺を買う。食べて飲むとガスっているので散策もせずに昼寝。快適な稜線歩きだったが久しぶりの縦走で疲れていたみたいだ。

16時、テントのフライ越しに降り注ぐ陽の光で目覚めた。のろのろとテントを這い出してようやく山荘周りを散策した。ガスはすっかり飛んでいた。

初めて燕岳を間近に見る。しみじみと晴れてよかったと思った。ここ数年まともに北アルプスの山に登ることができていなかったのでこの光景を見ただけでも感慨深かった。

とにかく賑やかな山だなと思った。人が多くてあらゆる所で写真を撮っている。何人か並んで順番待ちして写真を撮っているスポットがあった。空いたのでYAMABUのサコッシュ、YOKOを置いて撮影してみた。

サコッシュのTATE・YOKOの制作依頼はお問い合わせください。

これから夕立で明日は晴れ確定なので今日は燕に登らずに早めに休むことにした。

燕のテント場は地質が柔らかくペグがバッチリ効いてしかもフラットなので快適に眠ることができた。

DAY3 8/27 燕岳〜中房温泉

3時起き、4時出発。ヘッドランプを灯して燕岳に向かう

大天井、槍穂、小屋の明かりと動き出している登山者のヘッドランプの明かりがよく見える。向こうからもこっちが見えているのだろうか。彼方で動く明かりを眺めながら、どんな人がどこまで歩くのだろうか?とふと思う。

燕岳までの道中で驚いたのがコマクサの群生地がいくつもあったことだ。こんなに群生しているのは初めて見た。すでに花はほとんど終わっているのだが、夜露に濡れた葉がヘッドランプの明かりをきらきらと反射して幻想的だった。

4時36分、二番手で燕岳ピーク着。

燕山荘方面、ぞくぞくとこちらに向かってくる人の列が見える。少し雲が多い。

雲が多くてなかなか太陽が出なかった。ピークは混み合っているので少し離れた場所で太陽を待つ。

しかし、全然寒くない。真夏でも北アルプスの朝は震える寒さのはずなのに。

5時10分、ようやく太陽が姿を見せた。雲が多くもうひとつのご来光だった。

燕山荘へ戻る途中ブロッケンが現れた。ガスの壁が近かったので大きなブロッケンだった。

ピークに向かう時は暗闇で気づかなかったのだが、メガネ岩を見たり。

イルカ岩を見たり、燕の名所を見ながらテントへ戻った。

今日は中房に下るだけなのでゆっくりして7時に燕を後にした。

先月は歩けなかった道を下る。

10時、中房温泉着。先月2泊した有明荘で温泉に入る。

バスで穂高の街に下りてあまりの暑さに驚いた。

穂高駅で電車を待つ間、暑すぎるけど、夏だな、夏山に行ったんだなと充足感に満ちていた。

久しぶりの縦走だったがいつもなら2500メート以上高度を上げると激しい頭痛と吐き気、眠気に襲われるのだが今回は軽い頭痛で済んだ。休憩を1時間毎に10分取り、ゆっくり登り、紫外線対策を徹底していたのがよかったのかも知れない。

ようやく、以前の山登りが戻ってきた気がする。