仙丈ヶ岳 7/20-22

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ここ数年、毎年のように南アルプスに行こう行こうと言いながらも、神戸から公共交通機関でのアクセスの悪さから断念していた。

しかし、今年は複雑な公共交通機関網をなんとか解読してついに行ってきた。ジオライナー・ジオタクシー・モーニングジオライナー・南アルプスクイーンラインという数々の路線ラインナップに加えて時刻表と曜日による運行運休の解読が必要だった。

中央線沿線に向かうなら新幹線でまず名古屋まで行く。そして特急しなのに乗り換えて登山口の最寄駅を目指すのだが、今回は伊那まで高速バスで行った。前夜に伊那に着いてホテル泊、翌日モーニングジオライナーで戸台パークを目指した。

DAY 1 7/20 長衛小屋→駒津峰→長衛小屋

初日は4時半に伊那発のモーニングジオライナーで出発。5時10分に戸台パークに着いて5時半発の南アルプスクイーンラインに乗って6時半に北沢峠に着く予定だった。

戸台パークに着いて唖然とした。並ぶとは聞いていたが想像以上に並んでいた。チケット買うのに並んで、バス待ちに並んで、結局バスに乗れたのが1時間後で北沢峠に着いたのが8時過ぎだった。

バス待ち待機列、ぐるぐると三重に並んでいる。

長衛小屋に着いてからもテント場がほぼ埋まっていて場所探しに時間がかかり、結局登山開始が9時になってしまった。

この時点で今日は甲斐駒ヶ岳は無理だろうと思っていた。稜線ぐらいまで登れればいいかと、とりあえずあせる気持ちを落ち着かせて歩き始めた。

歩き始めてすぐに苔で和む。妻と開口一番、八ヶ岳みたいやなあ、と。

山に一歩足を踏み入れるとそんな風景が広がっていた。

樹林帯はしっとりとうるわしく、空気が優しく肺に入ってくる。

20年以上前に来たことがある妻は、こんなとこ歩いたかなあ?まったく記憶にないわ〜、とぶつぶつ喋りながら前を歩く。

最近苔を育てているので苔類には興味が尽きない。

仙水峠を少し登ったあたりで天気が崩れてきた。

駒津峰の手前あたりで吹きさらしに出る。森林限界が高いおかげで雨風を防いでくれてここまで涼しく快適に登ってくることができた。

12時、駒津峰着。甲斐駒ヶ岳ピークへは1時間半ぐらいだが天候と帰りの時間を考えると撤退しかなかった。

ガスでまったく見えないけどこの先のまだ見ぬ風景に想いを馳せ、またここに来るという目標ができたことにして下山する。

下り始めると天候が回復するのはよくあることで、振り返ると登りでは見えなかった摩利支天が見えた。

さらに東の方には鳳凰三山が見えて今日一番のテンションに。オベリスクもはっきり見える。

ついに甲斐駒ヶ岳も見えた。ちょっとこれは登ったほうがよかったんでは?と一瞬思ってしまった。

前方の雲がかかっている山が明日登る仙丈ヶ岳なのかもしれない。

登りは薄暗かった苔の森に光が差し込んでいる。

沢の水がとにかく豊富で水の心配はしなくてすみそうだ。

15時、長衛小屋に帰ってきた。テントがさらに増えている。

夕飯は無印のバターチキンカレー。

DAY 2 7/21 長衛小屋→仙丈ヶ岳→長衛小屋

4時15分、仙丈ヶ岳へ向けて出発。

仙丈ヶ岳へのアプローチは何通りかあるが我々は薮沢から馬の背ヒュッテ経由で行く。一度北沢峠まで戻って太平山荘を経て薮沢のルートに入る。

北沢峠にあるこもれび山荘を通過。

まだ営業していない太平小屋を通過して薮沢ルートに入る。

このコースは長衛小屋からは少し遠回りなので誰も来ない。緩やかな傾斜でとても歩きやすい道だ。

1時間ほど歩くと眼下に薮沢が見えてくる。

まさに沢沿いを登る。日が昇っても沢には差し込まず、時折ひんやりとした風が吹くのでとても涼しく快適に歩く。

途中、尾根側から何本もの沢が滝のように流れ込んできていた。

標高を上げてもどこまでも水が豊富に流れている。

振り返ると甲斐駒ヶ岳のピークが姿を表していた。

7時、馬の背ヒュッテ手前の分岐に着く。素晴らしい沢沿いのトレイルだった。

馬の背ヒュッテを過ぎて稜線に出るとハイマツ帯を進む。ガスって仙丈ヶ岳は見えない。

チングルマが咲いていた。

8時19分、仙丈小屋着。

ずっとガスっていたのだがしばらく待っているとなんだか晴れそうな雰囲気になってきた。

晴れてガスって晴れてまたガスってを何度か繰り返して、これは晴れるなと確信を得たタイミングで仙丈ヶ岳に向けて登り始めた。

ナナカマドの花。

仙丈小屋を振り返る。

ガスの中、前方に仙丈ヶ岳ピークが見えてきた。

その手前で妻が雷鳥を見つけた。それ以前にオコジョも見つけていたので動物を見つけるのが上手いのかも知れない。

雷鳥は親子連れだった。

9時23分、仙丈ヶ岳ピーク着。

今回は妻がコースタイムの110%〜120%で歩くようにペースを作ってくれている。ここまでまったく疲れがなく快適に登って来ている。

これは確実にガスが晴れる。

ピークからカールを見下ろす。

これから歩く稜線、先に甲斐駒ヶ岳が見える。

花が豊富な稜線だった。初めて見る花も多くて見つける度に足を止めて写真を撮る。

小仙丈ヶ岳方面からも次々と登ってくる。

同定できてないがとても綺麗な花だった。

花を楽しみ、歩みを進める度に甲斐駒ヶ岳の姿は大きくなり、見るものが多くて忙しい稜線だ。

歩いてきた稜線を振り返る。

今回の山行のハイライトがこの稜線であるのは間違いない。

うっかり見落としがちだが東南方面に目をやれば常に北岳が見える。

前方に小仙丈ヶ岳が見えてきた。

11時、小仙丈ヶ岳ピーク着。

小仙丈ヶ岳を過ぎると稜線歩きが終わり下りに差し掛かるのだが、このルートは登るにはなかなか過酷なルートになりそうだ。

13時半、長衛小屋帰着。

明日は平日なのでテントが少し減っていた。今回のテントは久しぶりのホーボーズネストでラグジュアリーに過ごした。縦走で使うには重いが今回のようにベースに使うには最高のテントだ。

テント場のトイレはとても綺麗だった。

夏休みに入ったばかりの高校生の山岳部が数組幕営してて賑やかだ。

夕食は初めてのスモールツイスト、お湯を注ぐだけで本格的な味を楽しめる。

翌日はバスまでの時間をテント場周辺でゆったりと過ごした。

甲斐駒ヶ岳は登れなかったけど昨日の仙丈ヶ岳の稜線歩きは素晴らしく、満足感に満ち溢れて残りの時間を過ごす。

戸台パークにおりて仙流荘で入浴して、予約していたジオタクシーで高遠駅まで出て、そして路線バスで伊那に戻ってきた。

高速バスまで時間があったので最後は蕎麦でしめる。

南アルプス、神戸から公共交通機関で行くのも帰るのも大変だが、それに勝る魅力満載の山だった。遠かった南アルプスがぐっと近づいた山行だった。