北アルプスソロハイク DAY,1 8/12 雨のち夕陽

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2年ぶりとなる北アルプスソロハイクに行ってきました。

計画では折立から薬師、黒部五郎、双六経由で新穂高へと抜ける予定。
メインは2日目の薬師から黒部五郎までの高度3000メートルに迫る稜線歩き。

台風一過で好天に恵まれると予想して出発。
仕事を終えて11日深夜に富山着。
翌朝5時、富山地鉄バスの始発便で折立へ。

バスは満席。
途中、夜行バスとの合流地点で10人以上が待機していて予約していなかった人が乗れなかったほど。

7時折立着。
大学の山系サークルが50人ほど来ていて山歌を歌って気勢を上げている。

ストレッチをして、トレッキングポールをセッティングして出発の準備を終えると、いきなりの降雨。小降りだったし、空を見上げると明るかったのでやむだろうと、パタゴニアのフーディニだけを羽織ってハイクスタート。

台風の影響でトレイルはぬかるんでいる。
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緑は小雨で濡れ、最初の登りで汗をかかないほど涼しい。
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空を見上げるとさっきより暗く、怪しい雲が立ち込めている。
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本降りになったのでレインジャケットとパンツを羽織り、パックカバーを取り付ける。
しばらく行くと雨はやんで、汗をかき始めたので脱ぐ。
しばらく行くとまた降り出す、また着る。

もう脱ぐ必要はないぐらい本降りに発展する。

アラレちゃんのレストポイントに差し掛かった時、見た事のある人がそこで休んでいた。
以前からよく見ているブログの主、Hさんだった。

北アルプスは行く所がよく被ってたのでいつかは会うだろうと思ってたけど、本当に会えたので興奮して「うわ、Hさんですよね!ブログ見てます!」と思わず指を差してしまった。

Hさんこういう事に慣れてるので「はいっ、写真」とカメラを構えて僕を撮る。
「はい、撮って」と連れの人にカメラを渡してツーショットと、流れが淀みない。
Hさんは雲ノ平、高天原と回って折立に戻るらしい。
「また後で上で」と、僕は先に進む。

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雨は降っているが立山方面は見通しが利いて剱の切っ先が見えた。
ちょうど真ん中が剱。今頃もの凄い数の人がアタックしているに違いない。
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この辺りから写真は防水ジップロックに入れたiPhoneで撮る。
iPhoneは山では本当に優れたカメラだと思う。
画質もブログに上げるには充分だし、小さいし、ポケットでもサコッシュでもどこに入れていてもすぐ取り出して撮れるし。

雨に霞む有峰湖。
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樹林帯を抜けると横風が体を激しく打つ。
ウェアに当たる雨粒が弾けるような音を立てる。
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折立の登りは太陽が出て滝汗をかく想定だったのでベースレイヤーは保温性の弱いものを着ていた。
ウェアのベンチレーションを全て閉じても風と冷たい雨が体温を奪っていく。
寒い。もう着替えるには遅すぎる。

トレイルの真ん中が沢の様になっている。
ローカットシューズなのにゲイターを着けていない事に気づくも既に遅い。
泥が侵入しないように足運びに気を配る。
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立ち止まるとたちまち体温が下がるので水とトレイルミックスを口にする時以外はひたすら登る。
出来るだけ大きく体を動かしてただ風雨と寒さに耐えて登る。
追いついて来たHさんも「寒い、寒い」とパスして行く。
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太郎小屋が視認出来る辺りに来るとぴたっと雨がやんだ。風も、ない。
振り返ると彼方の雲の切れ間に青空が見え、僅かな希望を抱かせてくれた。
これだけで心と手足の先が暖まった気がした。
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カメラを取り出す。
雨がやんでも空には怪しい雲が漂っている。
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11時半頃太郎小屋着。
再び追い越していたHさん一行も少しして着いた。
ここでお別れなので挨拶すると、「はい、写真っ」と太郎の看板前で再び激写。
「これってブログ載せますよね?」と聞くと「うん、載せるよっ」とHさん。
ブログを欠かさず読んで、ギアインプレッションを参考にして購入までしていたのでもっと色々と話をしたかったけどお互い先を急ぐので「またどこかで」と別れた。

僕は急がなくても薬師峠のテントサイトは目と鼻の先なのでゆっくりしていられるのだが、小屋前で知り合った人が「テント場、昨日140張りで激混みだったみたいですよ。急いだ方がいいっすよ」と言うのでのんびりはしていられなかった。それに、早く濡れた物を乾かし、体を暖めなければならなかった。

テントサイトに着くと、まだ10張り程度で、良い場所も空いていた。
さっき知り合った人、Sさんと並んで張る。水場とトイレが近いフラットな場所だ。

Sさん、GoLiteのバイザーを被ってたのでテントも見物だなと思ってるとMSRのハバハバHPだった。他にもヒルバーグのソウロも持っているらしい。

ビール飲みながらテントや山の事を話していると体が少し暖まってきた。
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暖かい物も作って飲む。
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しかし、着替えてダウンジャケットを着て寝袋にくるまってもまだ寒い。
体を丸めて横になっている内にそのまま眠ってしまったようだ。

どれぐらい眠ったのか、起きると14時半。
テントが随分増えている。
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雨は完全にやんでいる。
濡れた物を全部テントの外に取り出して乾かす。
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テントで横になって本を読んでいると青空が、そして陽が射してきた。
するとあっという間に濡れた物が乾き、体は元の体温を取り戻した。
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16時を過ぎると方々からストーブの燃焼音とコッヘルの触れ合う音が聞こえてきた。
いい匂いもする。学生たちは生食材を使うので本当にいい匂いを漂わせる。
夕食はレトルトカレーに豆とソーセージを炒めたものをトッピング。
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Sさんのハバハバから玉子を割る音が聞こえてきたので、チラ見すると元コックさんと言うだけあって凝ったあんかけチャーハンを作っていた。山では生食材を使った方が断然美味しい。でも、重さに負けてほとんどインスタントだ。

夕食を終えてビール飲んでまったりしていると、管理小屋の人から夕陽が綺麗に見れますよとアナウンスがあった。18時半頃、太郎平に上がる。
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登り詰めると夕陽が見えてきた。
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明日目指す黒部五郎も夕陽を浴びている。
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数分毎に変化する色、形、温度。言葉がなくただ見とれる。真空の中のように音は何も聞こえない。高度順応出来ていない為か少し頭痛がする。今が何月何日で何時なのか、下で自分は何をしている人間なのか、何をしなければならなかったのか、頭痛に任せて全て忘れる。

この夕陽を見られただけでも雨の中登った甲斐があった。明日は素晴らしいハイクになるに違いないと期待を膨らませて20時就寝。