三日目、明日どうしようと?と悶々としてたらあんまり眠れなかった。
まだ暗い内にトイレに行きたくなって外に出る。ガスでヘッドランプの灯りが全く届かずガレキに躓きまくって右往左往。トイレに着いたのはいいけど、今度は戻れないことに気付いた。目印に灯すテント用の小型ランタンはやっぱり要るなー。
明るくなると降り出してきた。慌てて撤収。我が家のすぐ後ろにニーモのテントが鎮座、オビ1Pぽい。フォルムがかっこいい。
雲ノ平、こんなに美しいのにゆっくり落ち着いて見れなかったのが残念。空気がもの凄く濃厚だった。
木道が終わると祖父岳に向かう。この山を越えないと先に進めない。
祖父岳への登り。踏み跡がはっきりしないこんな道が嫌いだったりする。この後大きな雪渓があって、道が全く分からなくて困った。
祖父岳ピークは遮る物が無いので暴風雨。ケルンの陰に隠れて休憩。フラットで広場みたいな所で降り口が分かりにくかった。誰か前に居てくれると安心なんだけど、パスしてもらってもすぐガスで姿が見えなくなる。
前方が分岐で左に行けば水晶、まっすぐ行けば鷲羽。標識にデポってピークハンター達が登って行く。上の方はもっと凄いことになっている予感。
鷲羽ルートの予定だったけど行けるわけもなく、沢に降りて三俣に登り返すルートを取る。
この沢、かなり下る。そして誰も居ない。時折、人の声が聞こえた気がしてフードを脱いで周りを見るが誰も居ない。沢には大小様々な岩が転がっていて多彩で複雑な水音を立てている。その音が人の声に聞こえていて、恐いなーと思った。
下りきった所に巨大な雪渓があってそこが黒部川の源流だった。この時土砂降りで写真も撮れず。
下った後は登り。登りの方が膝にキツくてストックに寄りかかるように一歩登っては休憩の繰り返し。
11時、三俣に到着。この時は知らなかったけど、ドラマのサマーレスキューのモデルだったとは。診療所に転がり込んで、ズボン脱いでヤバいぐらい臭い脚を見てもらった。原因はよく分からないが同じような症状の人は結構いるらしい。ロキソニンと湿布をいただく。医学生と先生と話しをしただけで随分気が楽になった。本当に感謝。この診療所はカンパ制なので喜んで折り畳んで入れておいた。
雨は降り続いているが気分は晴れやか。今日は双六までの予定だったけど小屋前で知り合った人が「鏡平は天国だよ」と言うので鏡平まで行く気になってきた。もう全身びしょ濡れだし、脚は何処までもつか分からないし、双六でのテント泊は諦めて今日は行ける所まで下りてしまうか。
薬飲んでだいぶ楽になったがペースは相変わらず遅く、どんどん抜いてもらう。前を行く女子3人組パーティー、元気で明るい。こんな天気でも山を楽しんでいる。
分岐で女子パーティーは当然のごとく双六岳コースへ。羨ましい…。
このルートも人がほとんど居なくて、静寂の中のガスと高山植物の競演がなんとも幻想的。
雨が小降りになるとフードを脱いで深呼吸すると疲れがリセットされる。
突然前方のガスが切れて槍ヶ岳方面が見えた。まぶしいぐらい。勝手に槍ヶ岳の基部だと思って、竜の巣から現れたラピュタみたいだなとテンション上げてた。
フラットなテントサイトが気持ち良さそう。ずっと同じルートを来た見知った顔がちらほら。
ほんとどうしようかと迷ったけど天国らしい鏡平まで下りることに。
しばらく尾根を行くのだが登ったり下ったりの繰り返し。登りは双六手前ので最後だと思っていたけどまだまだキツかった。
分岐まで1時間半かかった。そろそろ行動時間リミット。それでも登ってくる人が結構居る。
鏡平まで無心で歩く。
16時過ぎ鏡平山荘着。なんか都会に来た気分。小屋内は雨で停滞の人で賑わっている。予約なしでも布団一枚は確保できた。乾燥室があるので濡れた物は全部乾かす。快適そのもの。
長い一日になってしまった。こんなご飯にありつけたのが夢のような激しい一日だった。
小屋は良い。同部屋の人や食卓が一緒になった人とすぐ打ち解けて話せるし、暖かいし、濡れないし。
とにかく、今夜は思いっきり眠れそう。