これこそ写真、この瞬間を収める為に写真はあるんだ。
と、ふと思った瞬間があったので。
家族全員が揃うとかは一年に一回あるかないか。
正月は忙しいので年末に会う習慣になっていて、
大晦日にみんなで妹と生まれたばかりの甥に会いに近所の病院へ行った。
病院を出ると陽が沈みかけて、しんと静まる年末の空気。
一番後ろを歩いて空を見上げて前を見ると家族の背中。
初孫を得て幸福感に包まれる両親。
その先に上町大地を下る坂が続き、彼方には夕陽が。
この坂は図書館に続いていて毎週のように兄弟で駆け抜けた。
露出も構図もめちゃくちゃな写真だけどこの空気感をどうして残したくて
とっさにカメラの電源を入れ、心の赴くままに撮った。
学生の頃から写真を撮ってるけど、
撮ってきた写真って過去に見たことがある写真がベースになっていて
なんとなく見たことのある風景に出くわすとその通りに撮ってきた。
それはそれで大きな満足感はあったのだけど、写真の為に写真を撮っていたということだ。
構図、露出、被写体、完璧に決まった美しい写真もいいけど、
上手な写真を意識せずに体が反応するままに撮るこんな写真もいいのかもしれない。