森と湖の北八ヶ岳にスノーハイクに行って来た。
高速を下りて八ヶ岳が迫って来ても雪があまりなくて心配したけど
稲子湯登山口から一歩山に入れば積雪はまだまだ充分にあった。
あられが降るぱらぱらという音と
雪を踏みしめる音以外は何もせず無音空間だ。
森の中をトレースが続く。
雪の表面はぱりっと凍っていて殻を被っているみたいだ。
雪に埋もれた森を抜ければ今日の目的地のしらびそ小屋だ。
雪景色に興奮し、はしゃぎながら登って来たので小屋に着いたのは15時ぎりぎり。
前から一度は泊まりたかった山小屋の中の山小屋。
今日はぼくら二人だけで貸し切り状態だった。
小屋番もおやじさんがひとりと和犬が二匹。
おやじさんはいかにも山小屋の人ですって感じの人だった。
犬も二匹とも大人しくておやじさんも必要以上の事は喋らない。
朝4時起きで出て来たので小屋周辺を散策する気力も残って無く、
お茶とかりんとうをごちそうになると用意された部屋に引き蘢った。
練炭こたつ付きで石油ストーブまで炊かれていてぽかぽかで最高だった。
17時過ぎまで爆睡してしまい、
おやじさんの「ごはんですよ」で目が覚めた。
メニューは魚のフライにおかず種々。
そしてアカシアの天ぷらが山盛り。
妻とぼくとおやじさんの3人で暖炉を囲んで食べた。
おやじさんはもの凄く無口な人なんだろうけど時折話しかけてくれて
ぽつぽつと会話をしながら食事が進んだ。
時折吹く風が小屋をぱたぱたと鳴らす以外は静寂そのもの。
今朝方、自分の住む街を出たばかりなのにこの異空間体験はなんなのだろうか。
嫌なものは全て街に置いて来た。
雪深い森、足に伝わる雪の感触、肌を刺す冷気、森のにおい、
湖底まで凍り付いた湖の畔の小屋、暖かい暖炉、寡黙な主人と和犬、
目の前で起きている事全てが素敵だった。